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自家製小麦「農林61号」で「耳うどん」 郷土料理 継承に一役

 佐野市御神楽町の福田農産加工では、福田フミヱ代表(70)が赤飯、惣菜などを手作りしています。


2013年からは組合長を務める御神楽麺加工組合の加工所も自宅敷地内に併設し、自家産小麦で「耳うどん」を製造。飲食店以外で耳うどんを製造するのは市内でも福田代表のみで、郷土料理の継承に一役買う存在です。


食味・香り・麺の色がよく


 耳うどんとは、佐野市(旧葛生町)仙波地区の郷土料理で、生地を延ばして長方形に切り分け耳の形に畳んだ麺料理です。


福田代表によると「悪い神様の耳を表しており、食べてしまえば家の話を聞かれることがないため、1年間悪いことが起こらず、魔よけの意味があります」といい、地区では正月に食べるのが習慣になっています。


正月に女性が料理をせずに済むようにとの意味もあり、干して保存したり、茹でたものを冷蔵庫で保存したりするなど保存食としての性格も強いです。

耳うどんを手にする福田代表

 福田代表方では、「コシヒカリ」と県の水稲もち奨励品種「きぬはなもち」2ha、小麦「農林61号」1ha、栃木在来のソバ2ha、価格が変動しにくいサトイモやヤマイモ、ゴボウなどの根菜類1.5ha、原木シイタケ2,000本を作付けしています。


 収穫物は福田農産加工で漬物やおこわ、きんぴらなどに加工し、市内のにある「道の駅どまんなかたぬま」や「三好農産物直売所」に出荷します。福田代表は「形が悪かったりサイズが規格外だったりするものも加工に回しています。ロスはほとんどありません」と話します。

 

夫が栽培を担当


 栽培を担当する夫の三男さん(73)。「農林61号は、現在推奨されている『さとのそら』より倒伏しやすく収量も落ちます。しかし食味が良く、製粉した際によい香りがあり、クリーム色で耳うどんに適しています」と話します。あえて分げつさせず、品質を優先させ栽培しているといいます。

「夫婦で続けていきたい」と福田代表と三男さん

 福田代表は1998年に県女性農業士(他県の指導農業士や農業経営士に当たる)の認定を受けました。国の補助事業を利用し麺打ち機と製麺機を導入しました。


 耳うどんは加工組合設立時より市内の佐野プレミアムアウトレット内「イタリア料理カプリチョーザ」に月20kg出荷。「耳うどんラグーソースとマスカルポーネチーズ」として提供されています。

 福田代表は「時間や手間もかかるので、粉で売ったほうが採算は取れます。ですが、買ってくれた神奈川県や愛知県の方からも『おいしかったよ、注文してもいいかな』と電話があると、やめられないですね」と話します。

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