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水稲 水位センサー、給水ゲート導入 水管理が容易に

 父と共に水稲24haを栽培する高根沢町上高根沢の見目智史さんは、水位測定装置や自動給水装置を設置し、水田管理の効率・省力化を行っています。さらに圃場管理アプリを活用し、父との情報共有の円滑化に取り組み、農作業の“見える化”を図ります。


遠隔地でも確認が可能 アプリで入・止水を操作

「資材費の高騰など、農業を取り巻く課題は多いです。今後はコストをかけずに省力化で生産効率を上げていきたいですね」と意気込む見目さん

 「いつか米農家を継ぐこと考えていましたが、仕事や子どもの誕生などいろんなタイミングが重なり就農しました」と見目さん。2015年に親元就農した。「父に教わりつつ、作業に慣れていくと、より効率よく作業する方法を考えるようになりました」と振り返ります。


水位センサーを手にfarmoの小平真李さん。「軽量で水田にくいを1本差し込んで設置。超音波で計測し、15分間隔で情報を送信します」と話します

 会社に勤め、自動車の電子部品の開発をしていたことからスマート農業に興味を持ちました。所属する栃木県スマート土地利用型農業研究会が開いた研修で現在の株式会社farmo(宇都宮市)の話を聞き、2018年に水位測定装置と自動給水装置を導入しました。


 水田の水位を測る「水位センサー」は、圃場1枚に子機1台を設置します。親機(通信機)が無線でインターネットに接続して情報を送信。情報をクラウド上に保存し、スマートフォンのアプリを通して確認できる仕組みです。見目さんは自宅から離れていたり、車による移動が不便だったりする水田5枚に水位センサーを設けました。


 自宅から最も遠い水田1枚には、遠隔操作で給水が可能な「給水ゲート」も設置。水口に取り付けたホースをゲートに通し、ゲートを開閉して入水と止水を行う。開閉はアプリで簡単に操作できます。


 見目さんは「通いにくい水田で重宝しています。いつでもどこでも手元で水位を確認できるので、効率よく水管理の見回りを行うことができます」と笑顔で話します。



給水ゲート(写真)と水位センサーは設置が簡単で、ソーラーパネル方式。通信費は無料

 水位センサーと給水ゲートを販売する同社によると、岩手県花巻市ではスマート農業推進事業の一環として、両製品が使用できるよう市内全域に通信機を設置する取り組みが今年4月に始まりました。通信機を無償で貸与。国内全域での利用を可能とするため、2024年までに全国各地に設置する計画です。


 また、見目さんは水田にソーラーパネルを取り付けてソーラーシェアリングに行うほか、二つの圃場管理アプリを駆使するなどスマート農業に積極的に取り組みます。


 以前は作業終了後に自宅で地図を広げて、作業内容や実施した日付などを手書きして進捗を管理。圃場管理アプリに変更したことで、作業時間中に効率よく進捗状況を入力できるほか、数量管理が容易となり、適正な肥培管理につながるなどコスト低減にも寄与したといいます。当初、父は情報通信技術(ICT)などの導入に懐疑的だったが、「情報の共有化が簡単になった」と喜んでいます。


 「見える化」がキーワードという見目さん。「農業は積み重ねたノウハウをデータ化することが必要です。ICTなどの導入や積極的な活用が農業の新規参入や若手が就農しやすい環境につながります」と期待します。



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