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親しみやすい米や加工品を

 那須町寺子乙で水稲の特別栽培などに20haで取り組む井上敬二朗さん、真梨子さん夫妻は、就農後に会社を設立。米の生産から加工品の製造と販売まで行い、ブランド化を図る。田園風景を生かしたキャンプやカフェなども企画。消費者に寄り添い、交流を柱に据えた稲作の価値を高める経営に重点を置きます。

「日々の仕事が未来につなげていく価値ある仕事と感じられるのも魅力の一つです」と笑顔を見せる井上さん夫妻

田園風景を生かしたカフェやキャンプも 


 井上さん夫妻は東京で会社員として働いていましたが、結婚を機に岡山県に移住し、カフェを経営していました。4年前に真梨子さんの父が病気に倒れたため、実家のある那須町にUターン。150年以上続く米農家を存続し、田園風景を守りたいと2018年に就農しました。

 当初は父の指導の下で栽培していたが、生産の現実に直面。米の需要減少に伴う価格低下や作業コスト、労力負担など課題が浮き彫りとなった。真梨子さんは「米なんてもうからないといわれているのが悔しかったです。米の魅力を伝えるために稲作1本で勝負することを決めました」と振り返ります。


ポン菓子や甘酒、米粉などを開発

 全量を系統出荷していましたが、一部を保管に回し、農閑期の加工品製造に着手。ポン菓子「INAPON(イナポン)」や甘酒、米粉など開発しました。さらに電子商取引(EC)のサイトを開設して販売しています。

ロゴはデザイナーに依頼して作成しています

 「生産と加工販売を合わせて採算を取るのではなく、別々の経営として成立させたいと考えました」と敬二朗さん。売り上げを明確化するため、2018年に加工と販売を行うTINTS株式会社を設立し、敬二朗さんが代表取締役に就任しました。2021年には真梨子さんが代表取締役として生産を担う農地所有適格法人株式会社FARM1739を立ち上げました。

 将来の展開性を考え、2020年に「稲作本店」と名付けてブランド化。消費者が親しみやすい米や加工品展開を目指します。


支援者募り開かれた農園へ


 経営はお客さんがいてこそと考える井上さん夫妻は、会員制交流サイト(SNS)を積極的に活用。作業の様子や農村風景を発信します。また、クラウドファンディングを実施して支援者を募り消費者と共に開かれた農園を作るプロジェクトを開始。そこから月に1度開く「田んぼでカフェTan Cafe」や「田んぼでCAMP」という景観や農村資源を生かした企画が生まれ、活動に取り組みます。


 現在は春先の直売店開店に向けて準備中です。「消費者の生活に寄り添った経営を考え、開かれた農業を意識しています」と話す井上さん夫妻。「単にお米を売るだけではなく、生産者の思いが伝わる商品を届けたいですね」と意気込みます。






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