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培った経験を活かして

 矢板市大槻の斎藤農園では、園主の豊富な経験を生かしたイチゴ栽培を行っています。2017年に新規就農した斎藤貴文園主(32)は「培ってきたノウハウを100%生かせ、眠っていた土地も活用できます。農業は天職です」と話し、夢の実現へ歩みを着実を進めています。

 従業員は4人。現在7棟25aで「とちおとめ」と、2019年に商標登録された白イチゴの県育成品種「ミルキーベリー」を栽培しています。直販のほか、合同会社セイユーや株式会社丸広百貨店など県外のスーパーに出荷しています。


 「県の農業大学校でイチゴの養液栽培を勉強しました。卒業後は農業機械メーカー に就職し、その後農業用ハウスメーカーに転職しました」と話す斎藤園主。各地で経験を積むうちに、栃木県では園芸施設の機械化が進んでいないことを痛感したといいます。

 「例えばトマト栽培が盛んな熊本県では、海外の人工知能(AI)を使用し全自動で換気や給水をしている農家が大勢います。栃木県はイチゴの産地ですが、そういう方は数えるほどしかいませんでした」と話し、「自分でハウスも農業機械も修繕できます。ならば独立して農業を始めてみるのも面白い」と就農を決めたといいます。

 さくら市の「株式会社グリーンさくら」で1年間の研修を受け、委託で米を栽培していた農地をハウスに転換しました。補助金の申請や資金の借入れには塩谷南那須農業振興事務所やJAしおのや、市、県の指導が大きな助けになったといいます。

 栽培に関してはハウスメーカー時代の経験が生きています。自動灌水システムと温度管理システムに加え、日射量が設定したMJ(メガジュール)に達すると自動で溶液を注水する日射比例コントローラーを導入しました。養液土耕栽培を実践します。「人件費は一番経費がかかるので、AIに補ってもらえればコスト削減につながります」と話し、将来的にはハウスの全てを管理するAIを導入したいといいます。

 商品には顔写真入りのシールを貼り付けます。「クレームが農園に直接来るため、品質管理を徹底する動機付けにもなっています。自信にもつながりますし、責任感も生まれます」と従業員教育にも熱を入れます。

 5年後を目標に法人化と観光農園化を考えているという斎藤園主。「現在、洋菓子店にイチゴを出荷しており、その2号店を併設できればと考えています」と農商連携に意欲的です。


 「農業を中心にして飲食店やマルシェなどさまざまな夢に結びついていきます。大槻地区には120haほど農地があるので、将来的には地域農業の受け皿になれる経営体に成長できれば」と話しています。

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