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幻の陸稲「エソジマモチ」 復活に向け手応え

 宇都宮市元今泉の栃木県立宇都宮白楊高等学校では、長年途絶えていた陸稲品種エソジマモチの復活に向け、「エソジマモチ復活プロジェクト」を展開しています。


粘り少なく歯切れ良い 菓子に適性

半世紀ぶりに江曽島町で収穫されたエソジマモチ

 農林水産省作物統計調査によると、2018年産陸稲の作付面積は栃木県が183haと、茨城県(528ha)に次ぐ全国2位。


全国の作付面積は推計750haで、両県がほとんどを占めます。


 エソジマモチは、明治20年代に当時の栃木県河内郡横川村江曽島の篤農家・篠崎重五郎によって育成されました。


全国に普及し、戦後まで半世紀以上栽培された陸稲品種です。


粘りが少なく歯切れが良いのが特徴で、せんべいやあられなどの米菓の原料に適しています。


 地域の歴史的作物として、地元農家たちが栽培復活を願っていましたが、県農業試験場にも種子が残されておらず、長く「幻の陸稲品種」とされていました。


 2014年、現同校橋本智農場長が、茨城県つくば市の農業生物資源研究所(当時)に種籾の配布を申請。種籾50粒から「エソジマモチ復活プロジェクト」が始まりました。


加工品の試食会で高評価


 2016年には同校農業経営科3年生が育苗箱に播種して苗を畑に移植。2017年には播種・育苗した苗を、同市江曽島町の坂本喜市(さかもときいち)さんの圃場約5aに移植し、9月には江曽島町で半世紀ぶりにエソジマモチが収穫されました。

 

 11月には江曽島町公民館で、市内の和菓子店やせんべい店が加工した赤飯やあんころ餅、おかきの試食会を実施。関係者に振る舞われ、エソジマモチは加工原料として価値が高いことを確認できたといいます。

「市の特産品になることが期待できます」と橋本農場長

今年から直播に切り替え


 今年は栽培面積を約10aに拡大し、移植栽培から直播栽培に切り替えます。橋本農場長は「機械化や省力栽培が可能で、転作や遊休地、耕作放棄地などの活用にも有効です」と話します。

 

 将来的には米菓原料として在来品種を活用した差別化や6次産業化なども考えられます。橋本農場長は「地元米菓メーカーと共同でせんべいやおかき、あられに加工し、市の新たな特産品となることを期待しています」と力を込めます。

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