100年先を見据えて成苗育成に心血注ぐ

 「百年先 われらの未だ見ぬ子孫にも 郷土の自然と食を伝えましょう」。この経営理念のもとで有機栽培に取り組むのは、大田原市加治屋の「古谷農産」古谷慶一さん(57)です。水稲10.9ha、麦7.6ha、大豆3.5ha、ソバ6.8haを有機栽培し、ウド3haも有機栽培への移行を目指しています。

「県内では大きくやっている方だと思いますが、私と妻と後継者の息子夫婦、長女次女の家族経営で楽しく取り組んでいます」と話します。

 古谷さんは2005年に有機JAS認証を取得しました。企業と連携して、有機農産物を加工・商品化など6次産業化による経営の多角化を進めています。


 有機栽培を始めたのは、アトピー性皮膚炎に悩むめいの存在です。症状を改善させたいと独学で勉強する中、「まさに自らが携わる食に原因があるのではないか。本当の農業、本当の食とは何か」を考え、15年前に慣行栽培から現在の疎植、深水、米ぬか栽培に転換しました。

  

 古谷農産では、水稲では一般的に苗代を150~80g播種するところ50gしか播きません。本葉が4~5葉になるまで約45日間育苗し、成苗となったものを1~2本植えで水田に移植します。栽植密度は坪当たり45株です。これにより株間の風通しが良くなり、いもち病や紋枯病などの発生を抑制できます。


 成苗となるまで移植を待つことで、移植直後から深水栽培が可能となり、ヒエなどの雑草の発生も抑えることが可能です。1か月は水位10cmを保ち、その後も稲の成長に合わせ水を入れていきます。

 施肥にも力を入れており、化学肥料に代わり米ぬかや規格外大豆、ウド残さやもみ殻を混ぜ発酵させた堆肥として使用します。収量は落ちますが、品質は市から表彰されるほどです。「昔から『苗半作』と言うとおり、成苗育成に力を入れています。堆肥は田んぼから採れたものを田んぼに返すだけです。持続可能な循環型農業です」と古谷さんは話します。


 きっかけがめいのアトピー性皮膚炎だったことから古谷さんは食育への強い関心も強く、2005年から地元小学生や横浜市の中学生の田植え・稲刈り体験も受け入れています。「現在ウドを学校給食に卸しています。市でも地産地消の取り組みをより推進してもらいたいです」とこれからの展望を話してくれました。


 古谷さんが理事を務めるNPO法人民間稲作研究所が主催し、毎年、宇都宮市にある会館「コンセーレ」で情報交換会があります。「有機農業者だけでなく一般消費者にも来てもらい、環境に配慮した農業の大切さを知ってもらい、本当の食について考えるきっかけになれば」と古谷さんは話します。

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