2022年9月27日、宇都宮市江曽島町の圃場でエソジマモチ保存会(篠崎實会長)と白楊高校農業経営科3年生20人及び横川西小学校5年生90人がエソジマモチの稲刈りを行いました。


エソジマモチ(江曽島糯)は陸稲で、明治30年代から昭和20年代まで栽培された品種。育成者は河内郡横川村大字江曽島(現:宇都宮市江曽島町)の農民だった篠崎重五郎(しのざきじゅうごろう)氏です。都市化の影響で生産が途絶えましたが、白楊高校が江曽島町で農業を営む坂本喜市さんの協力のもと、わずかな種もみを育て復活しました。
稲刈りは3年ぶりの開催。最初に白楊高校の橋本智教頭がエソジマモチについて説明し、次に2月に「みや遺産」(※1)に登録された「老農篠崎君功績碑」(※2)を見学しました。
その後、近くにある圃場に移動し、保存会の人が作業の流れを説明。高校生一人と小学生4,5人のグループに分かれ稲刈りや稲架掛け(はざかけ)を行いました。
最初は緊張していた小学生と高校生たちもだんだんと打ち解け、元気良く一緒に作業していました。小学生のさかもとかのんさんは「皆と刈る作業ができて楽しかったです」と話します。

天日乾燥の後、同市東原町の有限会社田中米菓でおかきに加工されます。代表取締役の田中宏幸さんは「3年前から白楊高校から依頼を受け、収穫したエソジマモチを使って『エソジマおかき』を製造し販売しています」と話します。
11月末現在、エソジマおかきは県内のスーパーオータニ各店舗で販売しています(店舗により売り切れの場合がございます)。
橋本智教頭は「地域の文化を継続するためにも、保存会の皆さんや小学生、高校生が協力して作業するこの行事を続けたいです。また、地域の在来品種の栽培を継続はもちろんですが最終的には経営できるような生産につなげ、市の特産品にしていきたい」と意気込みます。

※1みや遺産(宇都宮市民遺産制度)とは、市民や地域に親しまれ継承されてきた歴史文化資源を「宇都宮市民遺産」として認定。地域の宝として顕彰することで、後世への継承を期待するとともに、その継承活動を支援することにより、地域の活性化を図ることを目的とする制度。

※2「老農篠崎君功績碑」は明治43年にエソジマモチを開発した篠崎重五郎氏の功績がたたえられ建てられました。地元の人々の尽力で,現在は瀧尾(たきお)神社(宇都宮市江曽島4-290-17)境内に移築。