金ゴマを高根沢町の新しい特産物にしようと、同町桑窪の高根沢胡麻生産組合(斎藤勇次代表、71歳)は昨年、金ゴマの栽培を始めました。現在、組合員23人で5haを栽培しています。
組合員の中には魅力を感じ、農業を始めた人もいます。
斎藤代表は「国産金ゴマは希少価値が高く、需要があります。収益性が高いのは魅力的です」と話します。

「地元議員の助言もあり、佐野市にある製粉会社の波里が金ゴマを求めていることを知り、栽培を始めました。波里の指導員、茨城県笠間市のゴマ生産農家・青木才生さんに栽培方法を教えていただきました」と組合の山崎康之副代表は経緯について、こう話します。
桑窪地区の開田は水利条件が悪く、麦・大豆栽培の連作障害も起きていたといいます。
国産ゴマの消費量はごくわずかで、99%以上は輸入に頼っています。金ゴマの主な生産国はトルコで、黒ゴマや白ゴマと比べ脂質が高く、いった際の香りも強いです。
「国産金ゴマは外国産に比べ、油分も多いです」と山崎副代表は話します。金ゴマは乾燥に強く灌水も要らず、1粒の種から約1万粒を収穫できるのも魅力です。

組合では、5月下旬から6月下旬まで種を播き、7月には除草、8月に虫害に備え防除を行います。9月に葉かきをし、同月中旬から収穫を始めます。
収穫後はビニールハウスで3週間から4週間ほど乾燥させます。ビニールシートの上で株を逆さにして乾燥させ、金ゴマの粒を落としやすくします。
播種機「ごんべい」を使う他は全て手作業のため、除草・収穫は特に大変で省力化が課題だといいます。
山崎副代表は「作業効率化のため、今年は稲用のバインダーを改良して収穫を試みました。稲より太い金ゴマの木を結束させるのが課題なため、来年は更なる改良が必要ですね」と話します。

収穫された金ゴマは波里に全量出荷。「金のいりごま」として同町にある食と健康の複合施設・元気あっぷむらで販売される他、同施設内の飲食店で「金胡麻担々麺」と高根沢ジェラート「金ゴマ」にも使用されています。
波里のゴマ仕入担当者は「国産の仕入先を探しているところに、斎藤さんたちが手を挙げてくれました。栽培2年目ですが、品質も向上しています」と話します。
斎藤代表は「金ゴマに興味を持ってくれている人が増えているので、来年は規模拡大し収量3tが目標です」と話しています。