那須塩原市湯本塩原の八郎ヶ原放牧場で乳牛の放牧が始まりました。10月下旬までのびのびと草を食む姿が見られます。
標高860mにある放牧場の面積は62haです。イタリアンライグラスとオーチャードグラスを中心とした山あいの牧草地となっており、今年70周年を迎える箒根酪農業協同組合が市に委託され、管理・運営しています。

組合員は近隣市町の23人で、今年は約60頭が放牧される予定です。対象は家畜共済に加入している県内の育成乳牛で、費用は1日380円。
発情を同期化し人工授精も行います。山間の起伏に富んだ地形が足腰を丈夫にして健康な体をつくり、乳質の改善や分娩の軽減も期待できるといいます。

30年以上放牧場を利用している市内の臼井宏一さんは「飼養する頭数が減り飼料や糞尿の管理が楽になり助かっています」と話します。
伊藤昭光組合長は「牛にとっては仲間たちと自由に過ごせ、酪農家にとっても結束を高める意味があると思います。立派な娘さんに成長して欲しい」とほほ笑みます。

東京電力福島第一原発の事故以降、シカやイノシシによる獣害に頭を悩ませており、今年は一部に防獣ネットを張ったが効果は未知数だといいます。
伊藤組合長は「100頭は入る放牧場なので、利用者を増やしていきたいです。せっかく育てた牧草なので牛に食べてもらいたいですね」と話しています。