佐野市富岡町で露地野菜計80aと染物に使う藍20aを栽培する橋本良巳さんは、畑作経営のかたわら、10年以上前からヤギを繁殖させ飼育しています。
宇都宮大学農学部で畜産を学んだ橋本さん。「当時から、ヒトが消化できない草や藁を消化し、人間が利用できる乳や肉などのタンパク質に変える反芻動物に強い興味をもっていました」と話し、現在はヤギの除草能力に着目し、耕作放棄地での活用普及に努めています。

自ら近隣の耕作放棄地80aに実証圃場をつくり、その効果を検証しています。草や木が繁茂する耕作放棄地を農地として利用可能な状態に戻すには、伐根等も行える重機を使うことが有効です。
一方、重機の入れない傾斜地や景観の維持を目的とする場所であれば、電気柵で囲いヤギを放牧することにより、まず生い茂るクズやセイタカアワダチソウがなくなり、最終的には木までも枯らしてくれるといいます。
「生きている動物なので、常に健康状態を観察し、問題が発生したときは適切な対応を取っていくことが必要ですが、その効果には目を見張るものがあります」と橋本さんは話します。
自宅隣の畑13aには、春の出産を控えた繁殖用のヤギを中心に9頭が放牧で飼育されています。休日には親子連れや子供たちが頻繁に遊びに訪れます。橋本さんは「ヤギには人を和ませる力もあるようですね」とほほ笑んでくれました。