「近年の異常気象で園芸施設共済が欠かせない存在になってきています」と話すのは、下野市小金井の菊地寿一さん。イチゴ37a(単棟ハウス9棟)と水稲3.5ha、ビール麦2haを作付けしています。

30年ほど前にイチゴ栽培を始めた菊地さん。当時はまだ珍しかった夜冷庫や点滴灌水チューブを導入しました。現在も炭酸ガスによるイチゴ苗のハダニ防除を実施するなど品質と収量の安定に力を入れています。収穫した果実を宇都宮市場に出荷するほか、直売しています。
2014年2月の降雪で鉄骨連棟ハウスが倒壊。当時は園芸施設共済に加入していませんでした。「それまでは強風で被覆材が破けるくらいの被害しかなく、雪の重みで鉄骨ハウスが倒壊することは全く想定していませんでした」と振り返ります。この苦い経験から園芸施設共済に加入しました。

2021年10月には、台風16号の吹き戻しによる突風で1棟が全損被害となりました。「台風が去った翌朝にハウスを確認すると、西からの突風によりハウスが押しつぶされていました」と振り返る菊地さん。「ハウスの資材費も年々高くなってきていて、自力で復旧するには、かなりの経費負担となります。制度改正で補償額も上がっていましたので、園芸施設共済に加入していて助かりました」と話します。
園芸施設共済は、万が一の被災時に原状回復ができるよう、2021年4月から園芸施設本体と被覆材の標準単価を引き上げています。
「昔の被覆材はビニール製だったので破れてしまえば支柱への影響は少なかったです。今はPO製を使用しているため、破けずに風の影響を支柱に受けてしまいやすい」と菊池さん。「園芸施設共済に加入していることで、安心してイチゴ栽培ができます」と性ドン信頼を寄せる。
今年は「とちおとめ」と「とちあいか」を出荷していましたが、来年はとちあいかだけにする予定です。とちあいかは果実が大きく、香りと甘みが強い品種。菊地さんは「市場と直売で販売しているので、大きく味の良いイチゴを作っていきたいです」と意気込みます。