那須町豊原丙の摩庭正さんは、現在、妻の令子さんと「チーズケーキ工房MANIWA FARM」を経営しています。放牧酪農の自家産生乳を使用した商品は、季節によって風味が異なることが特徴。近隣客はもちろん県外からの観光客にも好評を得ています。

牧場では経産牛27頭と育成乳牛7頭を飼養。1998年に牛舎前の牧草地3㌶で放牧酪農を開始し、朝晩2回の搾乳、粗飼料と配合飼料の給与時以外は24時間放牧しています。
第四胃変位や蹄底潰瘍、腰萎などの脚からくる病気が減り、2022年は家畜共済の死亡廃用事故が0件でした。「以前は年に1度は行っていた削蹄も10年ほどしていない。足腰が丈夫になり、寝起きの際に自分で乳頭を踏んでしまうような事故も減った。軽労化にもつながるし、何より新鮮な空気が牛にいい」とメリットを話します。
正さんが経営するチーズケーキ工房は放牧場に隣接しています。08年に営業を開始しました。乳処理業、菓子製造業、飲食店の営業許可を取得しています。
現在は週に約60リットルをカフェ併設の工房でチーズに加工します。週に1~3回ほど製造し、1回で作るチーズは6~10キロほど。1回の作業でベイクドチーズケーキを12個、レアチーズケーキを3~6個、カップ入りのクラッシュレアチーズケーキ「那須の雪解け」を60個製造します。

「酪農家がチーズケーキを提供するカフェを開業したのは県内でも初めてと聞く。自家産の原料で、余分なものを使わず素材が生きた味が魅力」と令子さん。牧草を食べているため、季節で生乳成分が異なり、ケーキの風味が変わるのも売りだといいます。
正さんは「観光客がメインだが、常連になった方との交流も楽しい。これからも、近隣の方が和気あいあいと集まる場所を提供していきたい」と笑顔を見せます。
