宇都宮市の「レモン研究会」(竹原俊夫会長、67歳)は、栽培するレモンを「宮れもん」として商標登録。地元のレストランや和洋菓子店に卸すほか、宮れもんを使った商品の共同開発に取り組むなど、知名度向上と販路拡大を目指しています。

まんじゅう、ギョーザも 商品開発に力
会の発足は、竹原会長が新たな特産品として栽培できないかとレモンのハウス栽培を開始したことがきっかけです。県と宇都宮市の協力を得て、2018年に8人で立ち上げ。市が事務局を務めています。
現在、会員は19人。イチゴや果樹などを栽培し、既にハウス設備を持つ会員が多いです。竹原会長は「ハウスがあれば、設備投資が抑えられるので、まずは試しに1,2本からの栽培を勧めています」と話します。

品種は主に「璃の香」と「リスボンレモン」を栽培。とくに璃の香は、実が大きく平均で350g、大きいものでは500g~600gになります。皮まで柔らかく豊富な果汁が特徴です。種が無く、熟すとまろやかな酸味となるため、加工だけでなく生食にも向いています。両品種の収穫時期は11~12月。貯蔵性が高く、収穫後は4月ごろまで保存可能です。
レモンの花から蜂蜜を採取して商品化を図るため、授粉にミツバチを利用したり、アブラムシ対策に天敵のテントウムシを導入したりと試行しています。
まだ栽培本数が少なく、販売は主に県内のレストランや和洋菓子店が中心。竹原会長は「去年は個人向けに出荷ができなかったので、今年は直売所にも出荷できるようにしたいですね」と意気込みます。
防寒対策考え栽培法確立へ
会では、宮れもんを使った商品開発にも力を注ぎます。2020年6月に地元和菓子店「すずらん本舗」(宇都宮市住吉町)と共同開発した「宮レモンまん」を発売。同年10月には「宮レモンまん」を改良した「宮れもんまんじゅう」を売り出しました。

ほかにも、宮れもんを使ったエールビールや餃子などがあります。さらに市内の高校生が宮れもんを使ったケーキやドーナツを考案するなど、地域と連携して商品開発に取り組みます。
竹原会長は「まだ栽培している木が少なく、需要に供給が追い付いていません。栽培方法を確立し、寒さ対策を考えて周年で収穫できるようにしていきたいですね」と抱負を話します。