那珂川町北向田に住み、「ちほのいちごばたけ」を経営するの小林千歩さん(33)。2017年に新規就農し、現在は単棟ハウス3棟で「とちおとめ」6aと「スカイベリー」2aのイチゴのほか、「凜の香」や「リスボン」といった少量多種のレモン4aなどを栽培します。道の駅ばとうや地元スーパー、ネットショップなどで販売しています。

簿記や接客経験を生かす
宇都宮市生まれで非農家出身の小林さんは、生物や農業に興味があり、農業高校を経て農業大学校に進学。露地野菜や畑作物などを学びました。卒業後、同級生の米農家に嫁ぎました。
結婚後、3人の子育てが一段落し、何か仕事をしようと思い立った際に、農業をやりたいという思いがあったといいます。イチゴハウスを借りる機会があり、栽培を開始。イチゴ栽培の経験はありませんでしたが、研修は受けず、先輩農家を訪ね、助言を受けながら取り組みました。

1作目でイチゴ12aは作業継続が厳しいと考え、並行してハウス栽培が可能な作物をリサーチ。塩谷那須南振興事務所の人に勧められてレモン栽培を2018年に導入しました。
海藻や魚粉を中心とした有機質の液肥を施用。自分の子どもが洗わなくても食べられるようにと、農薬散布を抑制し「安心安全」を心掛けます。
仲間と共同でイチゴ苗づくり
借りていた農地を昨年購入。イチゴ5作目となる今年は、家族との時間を確保するため、イチゴ部会の仲間と共同で苗作りに取り組みます。病気を出さずに、安定した収量の確保が目標です。
責任を持って取り組みたいと夫たちの水稲作とは分業。収穫期を除き、ほぼ1人で作業します。「農業は田畑で力仕事のイメージが強いですが、事務作業や接客などあらゆる仕事がある経営だと感じています」と小林さん。「高校で教わった簿記や学生時代の接客のアルバイトが今の経営に役立っていることも印象的です」と話します。
就農後は農業女子プロジェクトに参加するなど、同じ環境の人々との情報交換や母校の先生との交流といった、多くの人とのつながりや関わる機会が増えました。
小林さんは「1人では大変ことも多いですが、先輩農家や関係機関などの人々、お客さんに支えられています。子育てとの両立も家族の協力に助けられています。恩返しのために農業を発信できればと考えています」と意気込みます。