大田原市加治屋の細岡盛さんは、妻と2人で夏ソバ4haと秋ソバ8ha、米8ha、麦3haを作付けます。ソバの播種前に繰り返し耕すことで除草剤を使わない栽培に取り組みます。
長年の趣味でそばを打っていた細岡さん。生産したソバをJAに出荷しています。一部を電動石臼製粉機でひき、市内にある道の駅「那須与一の郷」や近くの直売所で販売するほか、そば打ち体験会を開きます。
反収は夏90kg、秋135kg 打った麺を年末限定販売

会社を定年退職後、両親が始めた水稲や麦、大豆の経営を引き継ぎました。経営を任されるようになり、自分の取り組んだ成果を収穫で見ることが意欲につながったといいます。「子どもの頃の両親の様子や手伝いから大変だと思っていたが、農業は好きです。一から育て成長する姿を見られる点が魅力に感じます」とほほ笑む細岡さん。
25年続く趣味のそば打ちから「自分が栽培したソバで打ってみたい」という思いが強くなり、2009年に大豆からソバの作付けに転換しました。栽培方法は地域の生産者などに聞いて学びました。翌年に夏ソバの栽培を開始。品種は、夏が「キタワセソバ」、秋が粒が大きく香りの強い「常陸秋そば」です。
「白色の花が畑一面に奇麗に咲く様子が見られることが、ソバ栽培の楽しみの一つです」と細岡さん。「チッ素が多いとソバは倒伏しやすくなるため、チッ素成分が少ない豆類用の化成肥料だけをまきます。ほかの栽培より手間やコストはかかりませんが、播種前の準備が大切です」と話します。除草剤は使わずに、種を播く前にロータリーで4回耕うん作業をして雑草が生えないよう取り組みます。

10a当たりの収量は夏ソバが2俵(90kg)、秋ソバが3俵(135kg)。夏・秋ともに黒化率7割程度の緑色が残っている状態で早刈りします。緑色が残っていることで殻をむいた中のヒスイ色がひいたときに色が出るといます。
大雨で減収を経験 備えは収入保険

「以前、大雨で被害を受け、播き直しになりましたが、ソバの共済が無く、減収したことがありました」と細岡さん。2019年から加入している収入保険は万一の備えとしての位置付けです。
自宅敷地内の小屋を改装し、直径40cmの電動石臼を導入。そば粉や打ち粉を自家製粉しています。毎週月曜日に技術向上のため、仲間とそば打ち体験会を開きます。
過去には段位認定試験や大会に参加していました。「打ったそばを食べてもらいたい」と、2015年に食品衛生管理者の資格を取得。年末限定で自身が打った生そばを市内にある直売所「愛菜園」や「TOKO―TOKOおおたわら」で販売します。
トラクターを1台注文中という細岡さん。「2人で作業しているので、作業の効率化に力を入れています。生産を維持し、販売も続けたいですね」と意気込みます。